国交省:気候変動考慮した都市浸水対策で提言骨子。5~6月ころに策定へ

国土交通省が設置した有識者会議は、急激に進む気候変動

を踏まえた都市の浸水対策の提言骨子をまとめた。対策の中

長期的な計画に気候変動の影響を反映する必要性を指摘。

下水道施設の耐水化を強力に推進するため、目標となる浸水

深の設定方法を提示した。一定のルールを示すことで下水道

施設を管理する地方自治体の取り組みを促す。

5~6月ころに提言を打ち出す予定。

有識者会議「気候変動を踏まえた都市浸水対策に関する

検討会」は14日に書面開催した第2回会合で骨子を示した。

骨子では下水道による都市浸水対策の中長期的な計画「雨水

管理総合計画」の作成に当たり、施設整備目標の基準となる

「外力」の設定に気候変動の影響を加味する必要性を提言。

施設の耐水化に向け、想定される最大規模の浸水深に、

ハードとソフトの対策を組み合わせて対応する。目標となる

浸水深は中高頻度(30~80年に1回)の確率で発生する河川

氾濫を想定して管理者が設定することを基本とした。目標の

浸水深や施設の構造などを踏まえ、電気設備の上階への移設

や防水仕様設備への更新、建物全体の耐水化などに取り組み

効率的に対策を推進する。浸水リスクの高い下水道施設は20

21年度までに耐水化の計画を作成。それに基づき、5年程度で

ポンプ設備など、10年程度で沈殿設備などの耐水化を完了する

べきだとした。

2020年4月17日10:45 AM

厚労省:解体・改修工事の石綿飛散防止対策強化へ省令改正に着手

厚生労働省は、建築物の解体・改修によるアスベスト

飛散防止対策の強化に向け、労働安全衛生法の基づく

石綿障害予防規則(省令)の改正作業に着手する。有識者

検討会の報告書を踏まえ、石綿の含有にかかわらず事前

調査の結果を届け出る制度の創設や、除去作業の記録と

保存の義務化などを規定する方向。省令案を夏ごろにも

取りまとめる予定だ。

厚労省は「建築物の解体・改修等における石綿ばく露

防止対策等検討会」がまとめた報告書を公表。事前調査

の充実・強化。事前調査結果などの届け出の新設。除去

作業時のばく露防止措置の強化。作業計画に基づく作業

の実施状況の記録の義務化などが盛り込まれた。

工事前に実施する石綿有無の調査対象を明確化。木材

や金属、ガラスのみで構成され、明らかに石綿を含ま

ない場合は対象から外す。くぎ打ちなど軽微な損傷に

とどまるほか、壁材や塗料など新たな建材で覆う作業の

場合も対象外とする。

調査実施者の資格要件には、建築物石綿含有建材調査者

講習などの講習修了者、それと同等レベルの知識・経験

を持つことを新たに規定。要件を満たす人材が十分確保

できない現状を踏まえ、関係省令の改正から施行まで

3年程度の猶予期間を設ける。

調査結果は3年間の保存を義務付ける。併せて床面積が

60㎡以上または請負金額100万円以上の解体・改修工事は、

労働基準監督署への届け出を義務化。建築物に加え煙突

やトンネル天井板といった特定工作物も対象とする。

除去作業時に隔離が義務付けられている吹き付け石綿

や石綿含有保温材などは隔離解除の規定を厳格化。除去

完了を適切に確認できる者(石綿作業主任者など)の確認

なしでは解除できないようにする。

2020年4月16日10:08 AM

国交省、総務省:市区町村の空き家対策。策定率3ポイント増

国土交通省と総務省は、「空家等対策の推進に関する

特別措置法」(空家法)の施行状況を調査した結果を

まとめた。2019年10月1日時点の市区町村による空家等

対策計画策定率は63%で、前回調査(3月31日時点)に

比べて3ポイント上昇した。周辺の生活環境に悪影響を

及ぼす特定空家等の措置は、15年2月の法施行から4年半

の累計で、7552物件の除却などが実施されている。

空家等対策計画の策定率は、20年3月31日時点で7割を

超える見込み。一方で、策定予定で時期未定が14%、

策定予定なしは10%ある。

特定空家等に対する措置状況は、法施行日からの累計で、

助言・指導が1万7026件、勧告が1050件、命令が131件、

行政代執行が50件、略式代執行が146件となった。特定

空家等として把握されているのは2万3885物件で、除却

などがされずに現存しているのは1万6333物件ある。

市区町村が独自に制定した条例に基づき、特定空家等に

含まれない管理不全の空家でも6万9340物件で除却などの

措置が講じられており、空家法の施行を機に空家対策が

広がっているとみている。

2020年4月13日10:22 AM

新築小規模戸建て価格、首都圏は引き続き安定傾向

東京カンテイは9日、2020年3月の主要都市圏別・

新築小規模木造一戸建て住宅平均価格動向を発表

した。敷地面積50~100平方メートル未満、最寄り

駅からの所要時間徒歩30分以内もしくはバス20分

以内、木造で土地・建物ともに所有権の物件が対象。

首都圏の平均価格は4,554万円(前月比1.3%上昇)と

3ヵ月連続で上昇し、安定傾向。都県別では、東京都

が5,393万円(同0.4%下落)と反転下落、千葉県も、

3,652万(同2.0%下落)と2ヵ月連続で下落した。神奈川

県は4,038万円(同変動なし)と横ばいで、埼玉県は3,731

万円(同2.3%上昇)と3ヵ月ぶりに上昇した。

近畿圏は3,361万円(同2.4%下落)と4ヵ月ぶりの下落。

大阪府は3,220万円(同3.0%下落)と反転下落。兵庫県は

3,719万円(同2.9%下落)と4ヵ月ぶり、京都府は3,492万円

(同4.8%下落)と5か月ぶりの下落と、すべての主要府県が

下落に転じた。

 中部圏は3,827万円(同4.1%上昇)と反転上昇。愛知県も

3,870万円(同4.0%上昇)と反転上昇した。

なお、供給戸数が大きく減少した都道府県もあり、新型

コロナウイルス流行の影響が見られる結果に。

2020年4月12日11:27 AM

国交省:自治体らに建設現場での適切対応要請

新型コロナウイルス感染症に関する緊急事態宣言を

踏まえ、国土交通省は地方自治体、建設業者団体、

民間発注者団体に対し、工事・業務での適切な対応を

求めた。緊急事態措置の期間中も河川や道路などの

公物管理や公共工事といった安全安心に必要な社会

基盤に関する事業者は、最低限の事業継続が要請され

ていると指摘。施工中の工事現場では感染拡大防止策

を徹底するよう求めた。

東京など7都府県の対象地域内の工事・業務は知事

要請を踏まえ、受注者からの申し出があった場合、

受発注者間で協議した上で工期の見直しや必要な請負

代金額の変更、一時中止の対応など適切な措置を講じる

よう要請。対象地域外は、これまでの措置を継続。

受注者からの一時中止などの申し出がある場合などは、

受注者に責任のない事由として取り扱うよう求めた。

対象地域の内外を問わず感染拡大防止策の徹底を要請。

建設現場は多人数での作業や打ち合わせなどで密閉・

密集・密接の「3密」が生じかねない場面も想定される。

元請事業者や下請事業者、技能者などがそれぞれの立場で

極力3密を回避する行動を求めた。
国交省は土地・建設産業局建設業課長名で「新型コロナ

ウイルス感染症にかかる緊急事態宣言を踏まえた工事および

業務の対応について」に関する文書を、都道府県と政令市に

8日付で送付。都道府県には管内市町村への周知を求めた。

事務連絡として建設業111団体、民間発注35団体にも文書を

送った。

2020年4月11日11:17 AM

建退共:10月に電子申請方式の試行開始

勤労者退職金共済機構の建設業退職金共済事業本部は、

掛け金納付の電子申請方式を10月から試行する。試行に

協力する元請数十社(150社程度上限)を対象に企業ID

やパスワードを送付。11月にもシステムを供用し、電子

申請による就労実績の報告などを受け付ける。

就労実績の確認には建設キャリアアップシステム(CCUS)

のデータが活用できる。履行確認の強化策も打ち出し、

2021年4月以降に発注される公共工事から適用する。

電子申請方式は従来の共済証紙を電子化し、退職金

ポイントに変更。ポイントの払い込みは電子決済または

口座振替で行う。証紙貼付や証紙受払簿の記入といった

事務がなくなり、掛け金充当情報をオンラインで確認

できるようになる。

今秋からの試行では掛け金の払い込みは数万件、建設

労働者への充当は数百万日分を処理するなど、大規模な

運用を視野に入れている。21年3月末までの本格運用を

目指す。

公共工事での建退共制度の履行を徹底する。受注者は

掛け金収納書の提出用台紙に当該工事で必要となる共済

証紙数などを記載し、発注者に提出。工事完成後は労働

者延べ就業者日数、建退共の掛け金充当日数などを記載

した実績総括表を発注者に提示するようにする。CCUS

から出力した就労実績データを活用できるよう、建退共

の就労実績報告作成ツールの機能拡大を予定している。

公共工事の積算基準には建退共制度に基づく事業主負担

額が現場管理に含まれている。一方、民間工事では元請が

証紙を購入して下請に交付するケースは少なく、建退共

制度の活用が進んでいない。

建設現場で建退共制度とCCUSの普及を促進するため、

新たな標識の作成を検討する。公共工事の現場に掲げる

標識は、「共済証紙貼付方式以外に電子申請方式も利用

できる」というコピーを入れた内容に変更。民間工事の

現場では「CCUSの就業履歴に応じて、元請が将来の退職

金のための建退共掛け金を支払う」といったコピーを表示

した標識を計画しており、CCUSを活用した電子申請を

呼び掛けていく。

これらの新制度などは、6月下旬に予定している運営委員

会・評議員会などを経て正式決定する。

2020年4月10日10:58 AM

農水省:時間的制約を受ける工事に補正係数導入

農林水産省は現場条件で時間的制約が発生する直轄

土木工事を対象に、2020年度から補正係数を導入した。

制約を受ける時間の長さによって2種類の係数を用意。

公共工事設計労務単価に掛けて労務費を適切に算定する。

現場実態に対応し適正な対価を支払うのが狙い。1日以降

に入札公告した案件から適用している。

時間的制約を受ける現場の条件は、道路の交通量が多い

時間帯。通勤・通学時間帯。公的な輸送機関(バス・鉄道等)

のピーク時間帯。工事場所周辺地域の生活、営業活動などで

使用できない時間帯を避けて施工しなければならない場合。

中山間地域を含めた山間部にある現場など作業員の移動時間

を考慮すると、十分に作業時間を確保できない場合も対象と

する。

1日の標準作業時間(8時間)のうち、現場条件によって作業

時間を4時間以上7.5時間以下しか確保できない工事に適用する。

補正係数は「時間的制約を受ける場合」(1日当たりの作業時間

が7時間を超えて7.5時間以下)が1.06、「時間的制約を著しく

受ける場合」(同4時間以上7時間以下)を1.14とする。

労務費を算定する際、通常勤務すべき時間帯(8時~17時)内

で作業時間の制約を受ける場合は公共工事設計労務単価に補正

係数を掛ける。施工条件によって通常勤務の時間帯を外して

作業しなければいけない場合、公共工事設計労務単価に割り

増し賃金を足し、補正係数を掛け合わせて算出する。

2020年4月9日10:05 AM

国交省:「労務費見積り尊重宣言」モデル工事を全国展開。技能者の処遇改善を後押し

国土交通省は2020年度、一部の地方整備局で試行して

いる「『労務費見積り尊重宣言』促進モデル工事」を

全国展開する。労務費を内訳明示した見積書を尊重する

優れた企業にインセンティブを付与。工事の入り口

(総合評価方式)と出口(工事成績評定)の両面で評価

する。元請が下請の見積もりを尊重し、下請が適正な

労務賃金を支払う取り組みを後押しすることで、技能者

の処遇改善につなげる。

日本建設業連合会(日建連、山内隆司会長)は、労務費

を内訳明示した1次下請会社からの見積書を尊重する

「労務費見積り尊重宣言」を18年9月に発表し、実施要領

を同12月に策定した。20年度事業計画には技能者の処遇

改善を重点実施事業に位置付け、労務費見積り尊重宣言

の定着を図る。

こうした取り組みを踏まえ、国交省は関東地方整備局

の発注工事で「『労務費見積り尊重宣言』促進モデル

工事」を試行。対象は当面、一般土木工事(WTO政府

調達協定対象)のうち、段階的選抜方式の総合評価を適用

する案件。1月に2件の工事を公告した。

発注者は総合評価方式の入札契約手続きの審査基準日

までに、日建連会員を問わず参加する企業が「労務費

見積り尊重宣言」を決定し公表したことを確認。入札書類

に決定した事実などが分かるホームページの写しなどを

添付してもらう。下請への見積もり依頼で労務費を内訳

明示する誓約書の提出を求め、内容を確認する。両方の

条件を満たす場合、技術評価を1点加点する。

工事完成検査や成績評定時に、元請と下請が交わした

見積書を数社程度抜き取り、内容を確認する。調査対象は

1次下請との契約のうち、下請金額3500万円以上。総合評価

方式の技術評価で加点措置を受けていたにもかかわらず、

労務費の内訳明示がなかった場合は工事成績評定を3点減点

する予定。見積書に加えて、注文書で労務費の内訳を明示

していた場合は2点を加点する見通し。

国交省は建設業の「新3K」(給与・休暇・希望)を実現

するため、直轄工事でモデル工事などの取り組みを推進。

この一環として、技能者の処遇改善を後押しする「労務費

見積り尊重宣言」促進モデル工事を全国的に実施する考えだ。

2020年4月7日11:01 AM

国交省:CCUS利用の人材引き抜き防止策徹底

国土交通省は、建設キャリアアップシステム(CCUS)

の登録情報による人材の引き抜き行為の防止策を強化・

徹底する。元請、上位下請が閲覧できる情報に制限が

設けられていることを改めて周知。事業者間合意による

施工体制登録作業の代行機能について、上位請負人に

よる悪質な運用が人材引き抜きの懸念をいたずらに引き

起こすとし、建設業界に対し「厳正に対処する」と表明

した。
CCUSに登録すると、事業者情報、技能者情報が他社

から自由に閲覧できるとの誤解が一部である。だが過度

な情報の見える化につながらないよう閲覧範囲を限定。

技能者本人と所属事業者だけが、システムに登録・蓄積

された技能者情報を閲覧できる。初期設定ではすべての

情報が非開示。開示するには技能者本人と所属事業者

双方の同意が必要で、開示情報も選択できる。

元請は稼働中の現場に入場している技能者情報だけ、

上位下請は下位下請の技能者情報だけ閲覧できる。

ただし既に「作業員名簿」に記載されている情報と、

過去の自社現場での就業履歴に限定。閲覧できる資格

情報も、その現場での作業に必要な主な資格だけとなって

いる。国交省とCCUS運営主体の建設業振興基金(振興基金、

佐々木基理事長)はこうした正確な情報を継続的に周知して

いく。

CCUSには上位請負人が施工体制登録作業を代行する機能

を備えている。だが事業者間合意の趣旨に反して合意を強制

したり、本来の機能・目的に反して下位下請に所属する技能

者情報を閲覧したりなど悪質な運用は、人材引き抜きの懸念

を高める。

国交省は「CCUSの活用について(要請)」と題する文書

を1日付で建設業111団体に通知。この中で悪質な運用について

「代行機能の趣旨に沿わないばかりか、人材引き抜きの懸念

をいたずらに引き起こすことから厳に行わないこと」と要請。

「こうした優越的地位の乱用ともとれる行為に対しては、

厳正に対処する方針である」と明記した。

2020年4月6日1:39 PM

国交省:住宅着工数、8か月連続で減少

 国土交通省は3月31日、令和2年2月の新設住宅
着工統計を発表した。

 それによると、2月の新設住宅着工数は6万

3,105戸。持家、貸家及び分譲住宅が減少した

ため、全体で前年同月比12.3%減と8か月連続

で減少した。

利用関係別でみると、持家は前年同月比11.1%

減の1万9,557戸で7か月連続減少。貸家は同18.9%

減の2万2,638戸で18か月連続減少した。分譲住宅

は同3.9%減の2万362戸で4か月連続の減少。その

うち、マンションは9,353戸(前年同月比2.4%増、

4か月ぶりの増加)、一戸建は1万907戸(同7.9%

減、3か月連続減少)だった。

2020年4月5日11:37 AM