地場景況感、賃貸は首都圏・近畿圏ともに過去最高
不動産情報サービスのアットホーム(株)は24日、37回目
となる「地場の不動産仲介業における景況感調査」(2023
年1~3月期)の結果を発表した。北海道、宮城県、首都圏
(1都3県、東京は23区と都下)、静岡県、愛知県、近畿圏
(2府1県)、広島県、福岡県の13都道府県14エリアにおい
て、前年同期と比較した業況判断指数(DI)を算出(「50」
が前年並み)。同社加盟店のうち、都道府県知事免許を持
ち5年を超えて不動産仲介業に携わる不動産店の経営者層が
対象。調査期間は23年3月13~27日。有効回答数は2,002店。
分析はアットホームラボ(株)。
当期の賃貸仲介の業況DIは、首都圏が54.8(前期比11.8ポ
イント上昇)と大幅上昇となり、調査開始以来初めて50を
超えた。近畿圏は49.2(同7.6ポイント上昇)でこちらも
大幅上昇となった。首都圏・近畿圏ともに調査開始以来
の最高値となった。前年同期との比較では、首都圏が8期、
近畿圏が4期連続のプラスとなっており、回復傾向をキー
プした。
全国14エリア中、前期よりも業況DIが改善したのは13エリ
ア。7エリアが50超となり、その中でも東京23区は58.4と
極めて高い数値となった。不動産店からは「大学がリモー
ト授業を辞めたため、大学生向けの部屋探しが戻った」
(北海道小樽市)、「コロナ禍がひと段落し、企業の異動
などが活発化しつつある」(東京都新宿区)、「外国人留
学生が増えた」(埼玉県川越市)など、ポジティブなコメ
ントが相次いだ。
売買仲介の業況DIは、首都圏が44.9(同0.3ポイント上昇)、
近畿圏は44.8(同0.1ポイント低下)と、ともに横ばいでの
推移となり、小幅な動きが継続している。14エリア中、上
昇したのは5エリアにとどまっており、北海道、静岡県、愛
知県では40を割り込むなど、全体に一服感があらわれた。
不動産店からは、物件価格高騰や物価高の影響で購入の動
きが鈍っているという声が多いが、都心部では「1億円を超
える物件への問い合わせが順調」(東京都品川区)など、
高額物件への需要増を感じさせるコメントも。また「相続
物件の売却が増えた」(埼玉県桶川市)といった相続関連
取引の活発化を示す声も多かった。
23年4~6月期の見通しDIは、賃貸が首都圏50.8、近畿圏
49.0とやや低下するとの予想ながらも高水準を維持。14エ
リア中、DIが上昇するとの見通しは7エリアにとどまるが、
東京23区、北海道、京都、広島で見通しDI50以上となった。
売買仲介については首都圏44.9、近畿圏43.9と小幅な動き
が継続。見通しDIは9エリアで上昇を示しており、淡い期
待感が読み取れる。
分析を担当したアットホームラボ(株)執行役員データマ
ーケティング部部長の磐前淳子氏は、「賃貸は、人口の都
心回帰で学生や社会人、外国人留学生の動きが活発で、フ
ァミリー層の住み替え需要も好調を保っている。売買は物
件価格高騰による平均的な収入層に購入意欲の低下がみら
れたが、富裕層や海外を含む投資家の購入意欲は活発さを
維持している」と分析した。
2023年5月25日7:38 PM