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新たな省エネ性能表示制度、24年4月施行へ

国土交通省は21日、第2回「建築物の販売・賃貸時の省エネ
性能表示制度に関する検討会」を開催。表示ルール(素案)
等を検討した。

6月に公布された改正建築物省エネ法に基づく省エネ性能表
示制度では、すべての建築物(販売・賃貸が行なわれるもの)
を対象とした表示事項・表示方法等を、国土交通大臣が告示
で定めることとし、告示に従って表示していないと認める場
合、販売・賃貸事業者に対して勧告等の措置が可能となる。
同検討会では、同制度に基づく省エネ性能の表示ルール等を
検討している。

素案では、表示の時期・場所について、建築物の販売・賃貸
の広告を行なう際に、広告中に当該建築物の省エネ性能を掲
載することにより、販売・賃貸を検討する消費者等に対して
省エネ性能を表示する。新聞・雑誌広告、新聞折込チラシ、
パンフレット、インターネット広告等を想定しているが、予
告広告その他建築物の省エネ性能を表示することが困難なも
のは対象外とする。新築建築物の省エネ性能の表示は、建築
確認済証の交付後に行なう。推奨事項として、売買契約また
は賃貸借契約の際に、契約しようとする者に対して当該建築
物の省エネ性能を評価した書面を交付すること、建築物の利
用者等に対しては建築物またはその敷地に評価書等を提示す
ることなどを挙げた。

表示すべき事項としては、当該建築物の一次エネルギー消費
量に関する性能の多段階評価を示した。多段階評価は、住宅
の場合、当該建築物の「再エネを除いたBEI」(以下、BEI*
(仮))および仕様基準または誘導仕様基準への適合に応じ
て評価。非住宅は、BEI*に応じた評価とする。

住宅の場合は、☆☆☆☆☆(=★なし、省エネ基準不適合、
1.0<BEI)~★★★★★(BEI*≦0.6)の範囲で、削減率
(=(1-BEI*)×100)やBEI*の数値も併せて示す。なお、
省エネ基準は★★、ZEH水準は★★★の設定。外皮性能の多
段階表示も、断熱等性能等級4~7の範囲で、UA値とともに
表示する。表示推奨事項は、BEI(再エネ自家消費を含む)、
省エネ基準や誘導基準への適否、目安光熱費(新築住宅の場
合)を挙げた。

表示方法は、原則、同省が示した様式による「ラベルを用い
た表示」としている。ただし、住宅性能評価、長期優良住宅
認定、低炭素建築物認定、CASBEEその他の建築物の環境性能
表示制度により、当該建築物の省エネ性能を表示している場
合、その表示事項・表示方法は、その限りではないとした。
第三者認証(BELS)を取得する場合、BELSの評価書の交付と
あわせてラベルが発行される仕組みを想定しているほか、第
三者認証を使用しない場合は、同省が用意した専用ページで
必要事項を入力すると発行できる仕組みを構築する予定。

また、既存建築物における表示事項・表示方法は今回の案で
示した内容の限りでなく、これに替えることのできる表示事
項・表示方法について別に定める。代替表示については、
「住宅については、断熱や設備の部分的な仕様等に基づく表
示」「非住宅については、運用時のエネルギー消費の実績値
等に基づく表示」を踏まえて今後詳細を検討していくとした。

これらは建築物省エネ法に基づく告示または販売・賃貸時の
建築物の省エネ性能表示制度のガイドラインにおいて定める
ことを想定。同制度を円滑に運用するため、販売・賃貸事業
者だけでなく、仲介事業者や管理事業者の協力や理解度向上
も重要だとした。

委員からは「新築分譲マンションでは予告広告を用いている
ケースが多いため、予告広告での表示方法も検討すべきでは」
「賃貸住宅の場合、入退去のスパンが短いため、評価年月日
から〇年は有効など、表示内容の刷新をどのタイミングで行
なうのか決めておく必要がある」「★が少ないことで性能が
劣るという誤解が生まれないようにすべき。未評価の場合も
表示しては」「消費者にとっての分かりやすさを重視するな
らば、BEI*の数値やUA値の表示は不要では。細かい数字は
評価書で示せばいい」「仲介事業者が行なうべきことを明確
にすべき」「ルールを徹底させるためには、将来的に不動産
広告の表示規約改正も視野に入れるべき」等の指摘があった。
業界団体等のオブザーバーからは「ZEH水準が低いという誤
解が生まれないように配慮がほしい」「ZEH・ZEBマークも入
れるべき」「消費者と接する仲介事業者が十分に理解できる
内容にしてほしい」といった意見が挙がった。

今後パブリックコメントを実施し、その意見を踏まえたとり
まとめ案を2023年2月10日に検討する予定。同年4~6月頃に
関連告示の公布、24年4月頃に改正法に基づく表示制度の施
行を見込む。

2022年12月22日9:22 PM