売買取引のIT重説、4月から本格運用へ
国土交通省は25日、「ITを活用した重要事項説明に
係る社会実験に関する検証検討会」の会合を開催。
個人を含む売買取引におけるIT重説について、4月
にも本格運用を開始すると明らかにした。また、
重要事項説明書等の電子化については、3月から
売買取引でも社会実験を開始。
賃貸取引も社会実験を継続するとした。
個人を含む売買取引を対象としたIT重説については、
2019年10月から社会実験が行なわれてきた。社会
実験の登録事業者は854社。このうち110社で実績が
あり、2,289件のアンケートが回収された(宅建士)
購入目的は64%が「投資用」、36%が「居住用」
約9割が区分所有物件、1割弱が土地付き建物だった。
機器等のトラブルについて約9割が「なかった」と
回答。約1割の「トラブルがあった」の中身は「音声
トラブルが発生した」(43.6%)、「画面が映らない」
(32.6%)、「インターネットにつながらない」
(18.6%)等で、トラブルの9割強(93.2%)は
「解決した」との回答だった。説明の相手方への
アンケートでも、聞き取りやすさについて約9割が
「十分聞き取れた」と回答、映像についても約9割が
「確認しやすかった」と回答したほか、約7割(67.8%)
が「今後も利用したい」と回答した。
これらを踏まえ、十分な数のIT重説が実施され、重大
なトラブルも確認できなかったことから、売買取引に
おけるIT重説についても本格運用へと移行するとした。
本格運用にあたり、2月中に実施マニュアルを作成、
宅建業法のガイドラインも改正する。
会合では、賃貸書面電子化の社会実験の経過も報告
された。同実験は、113社が参加し、2019年10月1日
から3ヵ月間にわたり実施。期間中、17社が書面の電子
化を実施。109件のアンケートを回収したが、15件の
トラブルが発生。特にトラブルが見られた箇所につい
て防止策を追補したガイドラインの改定を行なった上
で、20年9月~21年3月までの予定で実験を継続して
いる。20年12月末までの実施件数は118件で、継続実施
中のトラブルは報告がないものの、実施件数が9件に
とどまっていることから、4月以降も実験は継続する。
また、売買取引についても、2月中に社会実験用のガイ
ドラインを作成。3月から参加事業者を募集、実験を
開始する。
同省は、新型コロナウイルス感染症拡大を機に、非対
面・電子書面での取引ニーズが飛躍的に拡大している
ことから、IT重説については、早急に本格運用へと移
行。書面の電子化についても、賃貸・売買・媒介の契約
締結時交付書面及び重要事項説明書等に係る宅建業法
の関連規定を改正するため、一括法を含めて必要な
法律案を次期通常国会へ提出する予定。
2021年1月28日9:59 AM