IT重説・電子署名、住宅購入者の半数が利用意向
不動産流通経営協会は1日、2020年度の「不動産流通業に関する
消費者動向調査」の結果を発表した。居住用不動産取得者の取得
行動等を把握する目的で1991年から行なっており、今回で25回目。
首都圏1都3県において19年4月1日~20年3月31日に購入した住宅
の引き渡しを受けた世帯にWEBアンケートした。調査期間は、20
年7月22日~8月11日。有効回答数は1,188件。
住宅購入資金の内訳をみると、「現金・預貯金等」は新築住宅
購入者のうち66.8%(前年度比2.0ポイント増)が利用し、平均
額は1,030万円(同17.3%減)だった。既存住宅購入者は利用率
60.2%(同1.1ポイント減)・平均1,360万円(同1.6%減)。「親
からの贈与」は、新築は利用率19.5%(同1.1ポイント減)・平均
960万3,000円(同11.5%増)、既存は利用率11.8%(同3.8ポイ
ント減)・平均826万1,000円(同7.7%増)となった。民間の住宅
ローンを利用した場合の金利タイプは、「全期間固定型」が6.2%
(同1.9ポイント減)、「固定金利期間選択型」が15.3%(同2.4
ポイント低下)と減少。「変動金利型」が73.8%(同7.4ポイント
増)と7割を超えた。
買い替えによる売却差益の発生率は42.6%(同4.8ポイント増)と
4割を超え、13年度以降で最高。売却差損が発生したのは51.4%
(同3.8ポイント減)と、その差は10ポイントを切っている。売却
差損発生世帯の平均売却損失額は1,186万4,000円(同107万7,000
円減)。売却住宅の取得年が1999年以前は売却差損が1,000万円を
超え、取得年が新しくなるほど売却差損が小さくなる。
既存住宅の購入に際して、不動産会社による建物保証に伴う調査や
既存住宅瑕疵保険の事前調査など、何らかの「建物検査」を実施
したという回答は、47.7%(同1.7ポイント増)となった。既存戸建
について65.5%(同2.9ポイント増)、既存マンションは40.4%(同
0.6ポイント増)となった。
今回から、重要事項説明・売買契約締結へのIT利用に対するニーズ
に関する設問を用意。今後住宅を購入する際の「IT重説」の利用
意向(利用したいと思う)は49.7%。年齢別では60歳以上の26%
から年齢が若いほど意向度が高まり、29歳以下は56.0%となった。
また、売買契約締結における電子署名の利用意向も53.2%となり、
IT重説同様、年齢が若いほど利用意向は高かった。
2020年12月4日10:03 AM