国交省:ICT施工拡大策を公表。民間提案受け技術基準類策定・改定
国土交通省は5日、2020年度に取り組むICT(情報通信
技術)施工の拡大策を明らかにした。構造物工や路盤工
など工種拡大に向け、必要な技術基準類を年度内に整備
する。民間などから提案や要望のあった基準類の策定・
改定も進める。現場内のICT施工に関する情報を標準的
なAPI(アプリケーション・プログラミング・インター
フェース)仕様で連携させ、関係者が共有・利用できる
仕組みを検討する。
国交省は「ICT導入協議会」の第11回会合を同日、
ウェブ会議で開催。20年度に取り組む施策を提示
した。
ICT施工の工種拡大のため技術基準類では、20年度に
▽構造物工▽路盤工▽海上地盤改良工(床掘工・置換
工)-の3工種の基準類を整備し、21年度の適用を目指す。
土木構造物の出来形管理にICTを適用する。ドローン
(小型無人機)やTLS(地上型レーザースキャナー)
などで取得した3Dデータを、構造物の出来高管理、
出来形管理、出来形検査に活用。3Dデータをメンテ
ナンスにも活用するなど、インフラ整備・維持管理の
さらなる効率化を図る。20年度は橋梁下部工を対象に
検討。その成果を踏まえ21年度以降、橋梁上部工や
基礎工などの検討を想定している。
ICT路盤工では、振動ローラーに取り付けた加速度計
により施工箇所の密度を面的に管理する。施工品質の
向上とともに密度試験の省力化を図る。
基準類の策定・改定作業を迅速化するため、産学官の
提案制度を19年度に創設した。19年度は24件の提案の
うち9件について基準類を改定。20年度は21件の提案
を受け、このうち8件について基準類を改定する予定。
20年度は19年度の継続対応を含め、計12件の基準類の
改定作業を行う。例えば、ICT建機(油圧ショベル)
の刃先データを用いた施工履歴データを出来形管理に
活用する。現場試行の結果を踏まえ、通常の土工事で
施工履歴データを用いた出来形管理が実施できるよう
要領を改定する。
ICT施工の拡大策の一環として、現場施工に関する
さまざまなデータの連携を検討する。工程・品質管理
や出来形管理、人員管理といった情報を連携させる
ため標準的なAPI仕様を策定。関係者間が必要なデータ
を共有・利用できるようにし、民間の技術開発を促す
環境を整備していく。
2020年8月7日10:44 PM