国交省:「工期の基準」骨子案。全般・工程別・分野別に整理、受発注者の考慮事項抽出
国土交通省は、中央建設業審議会が作成する工期に関する
基準の骨子案をまとめた。基準は適正な工期設定で受発注
者双方が考慮すべき事項の集合体と位置付ける。適用範囲
は公共・民間問わず建設工事に関わるすべての受発注者と
し、双方の責務を明確化。工期全般、工程別、分野別に考
慮事項を整理する。働き方改革や生産性向上に関する取り
組み事例も盛り込む。
中建審に設置した工期の基準作成ワーキンググループの第
4回会合を4日に東京・霞が関の省内で開催。これまでの会
合を踏まえ基準の骨子案を提示した。
基準は、総論。工期全般にわたって考慮すべき事項。工程
別に考慮すべき事項。分野別に考慮すべき事項▽働き方改
革・生産性向上の取り組み。その他-の6章で構成。改正
建設業法で規定する「著しく短い工期の禁止」の勧告につ
いては、基準を踏まえるとともに、過去の同種類似工事の
実績との比較などを行い、許可行政庁が工事ごとに個別判
断するとした。
基準を適用する工期を「建設工事の施工着手段階から竣工
までの契約工期を指す」と定義する。公共工事では発注者
が設定。民間工事は、発注者の工期概算後、受注者の提案
を受けて、受発注者双方の合意で設定。受注者が施工段階
の前から関与して、発注者が設定-の2通りを示した。
発注者の責務には設計図書で施工条件をできるだけ明確に
することや、生産性向上の取り組みを推進するため受注者
に協力するよう努めることなどを明記。民間工事では建設
業の働き方改革のため適正な工期設定が必要だとエンドユ
ーザーに理解を求め、工事を進めることが重要とした。
受注者の責務には適正な工期に沿った見積もりの提出に努
め工期ダンピングを行わないことや、施工条件が不明瞭な
場合、発注者に伝えて条件を明らかにすることなどを盛り
込む。
工期全般の考慮事項には、自然要因や休日・法定外時間、
関係者との調整などを列挙。追加工事や設計変更がある場
合、必要に応じて工期延長を含め適切に工期を変更するこ
とが重要とし、受発注者協議の上、適切に工期変更すると
した。
工程別では、準備、施工、後片付けの3段階に分け、それ
ぞれに考慮事項を整理。全体工程のしわ寄せが後工程に生
じないよう、各工程で適切に進捗管理。工程の遅れが工期
全体に影響する場合は適切に対応するとした。分野別では
住宅・不動産。鉄道。電力。ガス-の4分野それぞれの特徴
を踏まえ考慮事項をまとめた。
2020年6月8日6:13 PM