国交省:CCUS利用の人材引き抜き防止策徹底
国土交通省は、建設キャリアアップシステム(CCUS)
の登録情報による人材の引き抜き行為の防止策を強化・
徹底する。元請、上位下請が閲覧できる情報に制限が
設けられていることを改めて周知。事業者間合意による
施工体制登録作業の代行機能について、上位請負人に
よる悪質な運用が人材引き抜きの懸念をいたずらに引き
起こすとし、建設業界に対し「厳正に対処する」と表明
した。
CCUSに登録すると、事業者情報、技能者情報が他社
から自由に閲覧できるとの誤解が一部である。だが過度
な情報の見える化につながらないよう閲覧範囲を限定。
技能者本人と所属事業者だけが、システムに登録・蓄積
された技能者情報を閲覧できる。初期設定ではすべての
情報が非開示。開示するには技能者本人と所属事業者
双方の同意が必要で、開示情報も選択できる。
元請は稼働中の現場に入場している技能者情報だけ、
上位下請は下位下請の技能者情報だけ閲覧できる。
ただし既に「作業員名簿」に記載されている情報と、
過去の自社現場での就業履歴に限定。閲覧できる資格
情報も、その現場での作業に必要な主な資格だけとなって
いる。国交省とCCUS運営主体の建設業振興基金(振興基金、
佐々木基理事長)はこうした正確な情報を継続的に周知して
いく。
CCUSには上位請負人が施工体制登録作業を代行する機能
を備えている。だが事業者間合意の趣旨に反して合意を強制
したり、本来の機能・目的に反して下位下請に所属する技能
者情報を閲覧したりなど悪質な運用は、人材引き抜きの懸念
を高める。
国交省は「CCUSの活用について(要請)」と題する文書
を1日付で建設業111団体に通知。この中で悪質な運用について
「代行機能の趣旨に沿わないばかりか、人材引き抜きの懸念
をいたずらに引き起こすことから厳に行わないこと」と要請。
「こうした優越的地位の乱用ともとれる行為に対しては、
厳正に対処する方針である」と明記した。
2020年4月6日1:39 PM