東京都:都内すべての解体工事対象にフロン対策で現場立ち入り調査へ
東京都は2020年度、業務用のエアコンや冷凍庫に含ま
れるフロン類の適切な回収を促すため、都内の建物解体
工事現場への全件立ち入り調査に乗りだす。4月施行の
改正フロン排出抑制法で、都道府県による現場への立ち
入り権限が強化されたための措置。調査対象は年1000~
2000件程度を見込んでいる。膨大な業務量に対応するため、
立ち入り調査に当たる専門職員を大幅に増員し「フロンGメン」
と呼ぶ体制を整える。
改正法では建物の解体工事に特化した対策規定が強化された。
従来は解体工事の元請業者に対し、着工前のタイミングで
フロン類が含まれる業務用機器の有無確認記録を記した書面
の作成と、発注者への提出を義務付けていた。改正後は発注者
と元請業者に書面の保存も義務付ける。新たに都道府県による
現場への立ち入りも認め、書面を立ち入り調査時の参考資料と
して役立ててもらう。
都でフロン対策を担当する環境局環境改善部環境保安課に
よると、都内の解体工事現場は年2万件程度。そのうち約2割
(約4000件)と推計される非木造建物を対象に、新たに委託
する調査業務などを通じ業務用機器の有無を確認する。実際に
立ち入り調査を行うのは、家庭用機器を使用しているマンション
などを除外した建物の解体工事現場になるという。
現場への立ち入り権限を持つのは都道府県の直営だけで、
民間業者に業務委託はできない。そこで都は20年度、フロン
対策の専門職員を9人(従来3人)に増員する。
法改正に伴う新たな取り組みを解体工事の発注者や施工業者
に周知するため、これまで年4回開いていた「フロン対策
講習会」の開催回数は年12回に増やす。同講習会の対象は
主に「充填回収業者」に登録している設備工事業者だったが、
今後は解体工事業者などにも受講してもらう。
20年度予算案には関連経費9100万円を計上した。新規雇用
する専門職員の人件費や、業務用機器の有無確認の関連業務を
任せる民間業者への委託料などに充てる。
環境省によると、17年度時点で業務用機器を廃棄する際の
フロン回収率は38%にとどまる。都は昨年末に策定した
「ゼロエミッション東京戦略」で、50年までのフロン排出量
ゼロを目標に緊急対策に当たる方針を示していた。
2020年3月14日3:31 PM