国交省:水害対策施設の機能強化を助成、自治体の取り組み後押
国土交通省は2020年度、被害が甚大な豪雨や浸水
の多発を踏まえ、地方自治体が取り組む水害対策施設
の機能強化を後押しする。老朽化している河川管理
施設などの更新、大規模雨水処理施設の設置・改築
に対する2つの個別補助事業を創設。事業費の2分の1
に国費を充てる。一定期間に集中的な投資が必要と
なる大規模施設の整備を加速し、防災・減災効果の
早期発現を狙う。
高度経済成長期以降に整備された水門など河川
管理施設の老朽化が深刻化している。建設後50年
以上が経過する施設の割合は18年3月時点で約32%。
33年3月には約62%となる見込みだ。
国交省は老朽化対策として自治体が取り組む、
治水、海岸保全、砂防-分野の大規模施設の改良・
更新事業の費用を補助する。概ね10年以内に完了する
事業が対象。施設管理者が施設ごとに策定する「長寿
命化計画」への位置付けも適用条件となる。治水施設
と海岸保全施設は水門や排水機場などの事業費4億円
以上の案件が対象。
砂防施設では18年7月豪雨の際、古い石積み砂防
えん堤で決壊などの被害が多発した。創設する個別
補助事業により、砂防堰堤や地滑り防止施設で計画的
な更新を後押しする。対象は事業費2億円以上の案件。
下水道分野は浸水被害を抑制するための事前防災
対策を支援する個別補助制度「大規模雨水処理施設整
備事業」を設ける。自治体による雨水のポンプや貯留
施設、雨水管などの設置・改築費用を補助する。10年
以内に完了する事業費5億円以上の案件が対象。19年度
に新設した再度災害防止を目的とする既存メニューと
組み合わせ、切れ目ない支援につなげる。
20年度は個別補助事業の拡充にも取り組む。放水路
の整備や橋梁や堰など横断工作物の改築を支援する
「大規模特定河川事業」の対象に、河川の水位を低く
する河道掘削などを追加。川幅が狭く流下能力が不足
している区間や、本川に流入できなくなった支川の水
が逆流する「バックウオーター現象」の発生リスクが
高い本川と支川の合流点が事業箇所の対象となる。
原則、5年以内に完了する事業費5億円以上の案件に
適用する。
2020年3月13日5:21 PM