国交省:建設現場の監督・検査作業を効率化、遠隔臨場を全国展開
国土土交通省は、建設工事における監督・検査作業を効率化する
ため、ウエアラブルカメラなどを利用した遠隔臨場を全国展開する。
遠隔臨場に関する試行要領案を作成し、2日付で各地方整備局など
に通知。発注者にとっては移動時間が削減でき、受注者にとっても
立会調整にかかる時間を大幅に削減可能となるなど、受発注者双方
の生産性向上が期待される。 遠隔臨場については、東北地方整備局
と中部地方整備局で先行的に試行工事を実施。東北地方整備局が19件
の試行工事を対象に実施したアンケートでは、受発注者ともに80%
以上が「有効だと思う」と回答した。具体的に、発注者からは「支度
時間と移動時間を削減できるのは大きい」「生産性向上だけでなく、
突発事象の対応にも利用できる」、受注者からは「臨場時間などの
調整がしやすくなった」「映像記録として残るため、後で再確認
できる」などの意見が上がった。
先行的な試行工事の結果を踏まえ、同省は「建設現場の遠隔臨場
に関する試行要領(案)」と「建設現場の遠隔臨場に関する監督・
検査試行要領(案)」を作成。官民研究開発投資拡大プログラム
でも遠隔臨場に活用できる多数の 技術の有効性が確認されており、
試行の全国展開に踏み切った。
試行要領案では、画素数やフレームレート、通信速度など配信・
記録に求める条件を規定。受注者は条件を満たすウエアラブル
カメラや固定カメラを活用して映像データをリアルタイムに配信
しながら、音声通話による監督職員の指示に対応して、指定材料
や寸法の確認を行う。
映像はパソコンに録画し、情報共有システムなどに登録して保管
する。通信環境が整えば、すべての工事が対象。段階確認など
での活用を想定し、実地で出来栄えなどを評価する完成検査には
利用しない。
実施にかかる費用負担は「受注者希望型」は受注者が負担、
「発注者指定型」は受発注者で折半とする。20年度に発注者指定型
を各地方整備局などで10件以上発注する予定。
2020年3月7日6:44 PM